今日、書店に行った。そこで、ある1冊の表紙の言葉が目に飛び込んできた。
家庭にひそむ「危ない一言」
- みんなと仲良く
- 早くしなさい
- 気をつけて!
- 何度言ったらわかるの
- 勉強しなさい
表紙を見ただけで私は衝撃を受けた。これらすべて私自身が子供たちに言ったことのある言葉だからだ。
「早くしなさい」については、なんとなく言ってはいけないことを知っていたけれど、「みんなと仲良く」や「気をつけて」などは、なんの悪気もなく、むしろ言うのが当たり前くらいになっていたし、現在でも普通に使っている言葉だ。
これらすべて、多くの子育て経験者はつい口に出してしまっている言葉たちであると思う。
この本の著者である出口保行氏は、全国の少年鑑別所、刑務所、拘置所で犯罪者を心理学的に分析する資質鑑別所に従事し、心理分析した犯罪者は1万人を超える方であるらしい。
この本は、最近(2022年8月)出版されたものなので仕方ないのだが、正直もっと早く出合いたかった。
この本は、次のような構成で書かれている。
序章 「よかれと思って」は親の自己満足
第一章 「みんな仲良く」が個性を破壊する
第二章 「早くしなさい」が先を読む力を破壊する
第三章 「頑張りなさい」が意欲を破壊する
第四章 「何度言ったらわかるの」が自己肯定感を破壊する
第五章 「勉強しなさい」が信頼関係を破壊する
第六章 「気をつけて!」が共感性を破壊する
終章 子供を伸ばす親の愛情
序章を読んだだけでも、我が家の問題点が浮き彫りになってきた。
我が家は、どちらかというと仲の良い家族であると思う。
でも、やっぱりいろいろと問題のある家族であるのも事実だと思う。
夫婦関係も普段は特に問題なく仲良しだし、休みの日などは二人でお茶しにでかけたりもする。
ただ、旦那と私では基本的な考え方がまるで違い過ぎる。このことは、結婚当初からわかっていたのだが、二人の時はさほど気に留めることはなかった。育った環境が違うから、そりゃあそうだよねという程度に思っていた。
でも、子供が生まれてからは、子供に対する態度・言葉・考え方など、結局私と違う部分がものすごく悪い方向へ作用したように思う。
それでも最初のうちは、考えを擦り合わせるために、伝える努力をしていたのだが、話にならないし、ケンカになる。
そのうち、子供の前でケンカになるのもよくないからと、ケンカにならないようにした結果、お互いにお互いのことに口出ししない選択をしてしまったのが良くなかったのだろう。
夫婦同士がお互いにもっと話し合い、自分と違う考え方も理解しようと少しでも努力していればこうはならないはずです。
問題なのは「子育ての方針が一致していなかったこと」そのものではありません。
価値観の相違は当然です。一致しなくてもいいから話し合うことが大事なのです。
わかっていた。本当はそうしなきゃいけないし、そうしたいと思っていた。でも、あまりにも話が通じなくて諦めてしまった。たぶんこれは旦那も同じだったのだろうと思う。
言ったらケンカになる。ケンカになったら離婚までの話になる。離婚するのもどうかと思うの繰り返し。
ケンカにならずに最後まで話し合う方法が、まだどこかに残っていたのかもしれないけれど、未だにそれは見つけられない。伝え方の問題とかいろんな要素はあるだろうけど、やっぱり根本的に違い過ぎてまったく話にならないというのが原因だと思う。話している次元が違うというか、話が通じないというか…。
でも、これはやっぱり子供にも影響を及ぼしてしまう大きな問題であり、解決しなければならないことなので、今一度考えなければならないと思う。
第一章から第六章までも、事例を挙げながらしっかりと解説をしてくれている。そして、それらは子育てをしていれば誰にでも起こりうるようなことである。そんな時には、こういう風に子供を導けばよいのだとわかりやすく記されていて、他のどんな子育て本よりも頼りになる一冊といっても過言ではないと思う。
また、子供の短所を長所と捉えて、言い換える術を身につけることが大切なこともわかった。
そして、反省とは違い、ありのままの思考や感情を見つめ、現状を客観視できるようにする「内観療法」という心理療法や、自分と相手、双方の役割を体験しながら自分の心に向き合い、気づきを得る「ロールレタリング」のやり方も記載されているので、実際にやってみたいと思う。
それぞれの声掛けをどのようにすれば良いのか、子供にどんな導きが必要なのか、今まで自分の子育てはどうだったのか、これからどうしていくのかを考えさせられる一冊だった。