今日は、発達障がいの1つであるADHDについて調べてみました。
ADHDを持つ小児は、家庭・学校生活で様々な困難をきたすため、生きづらさを感じやすく、その治療は、人格形成の途上にある子供のこころの発達を支援する上で、とても重要であると考えられています。
ADHDの有病率は、報告によって差があるのですが、学齢期の小児の3~7%程度と成人でも3~4%程度が持っていると言われています。
では、どのようなものなのか具体的にみていきましょう。
ADHDとは?
Attention(注意)
deficit(欠陥)
hyperactivity(多動性)
disorder(障害)
この頭文字をとってADHD(注意欠陥多動性障害)と言われています。
※最近では、欠陥や障害というネガティブなイメージから注意欠如・多動症と訳されるようになっています。
AD(注意欠如)
- 話をきけない
- 集中できない
- 先延ばしにする
- 記憶できない
具体的には、やらなければならない宿題や業務をやらない、ケアレスミスが多い、外部からの刺激で注意散漫になりやすい、優先順位をつけることができない、よく忘れる、部屋の片づけができないなどがあげられます。
ただし、できるできないの判断で、その辺の基準があいまいなので、これらの項目を聞くと、自分にも当てはまっていると思う人も多いかもしれません。
その時、ポイントとなるのは、「日常生活で困るかどうか」になります。
たとえば、いつも先延ばしにしてしまっていても、結果締め日に間に合っていれば当てはまたないことになります。
よくサボっていると思われてしまいがちですが、本人がどうやっても全体的に集中力や注意力が落ちてしまうので、仕方がないことなのです。
ここで周りの理解が得られないと、本人は自分がダメなのだと否定的になってしまいますので、注意が必要です。
H(多動・衝動)
- しゃべりすぎる
- もじもじする
- じっとしていられない
具体的には、他の人の話に割り込んだり、質問が終わる前に話し始めてしまうことや、貧乏ゆすり、落ち着きがない、何かを待つのが苦手などがあげられます。
ADHD(注意欠如・多動症)
これまでみてきたようにADHDはADとHに分けることができ、特徴がそれぞれ違います。
また、女性はADタイプが多く、男性はHタイプが多いとされています。
ただ、完全に分かれるタイプではなく、どちらの要素もある混合型の人の割合が8割を占めているとされているそうです。そのため、ADHDという合わせた呼び方が使われているのです。
もしも、周りの人で小学生時代からこのような症状があって、本人に困っている認識があるのであれば、治療を検討してみてもいいかもしれません。
ADHD原因
育て方の問題?!
現在ほど、脳の仕組みがわかっていなかった頃、よく通知表に「落ち着きがない」などと書かれていた男の子をよくみかけました。
落ち着きがないことも、家庭での育て方の問題だと言われていたのですが、その多くはADHDであり、そもそもその子の脳の特性によるものだった可能性があります。
忘れ物、宿題をやらないなどで頭を悩ませ、日々ガミガミ言ってしまっている親御さんも多いかもしれませんが、それ以上に、実は子供自身が自分はなぜそうなのか、自分はちゃんとできないダメな奴だと悩み苦しんでいるかもしれません。
親の育て方やしつけの問題ではなく、脳の前頭葉の働きの問題であるとされています。ですから、自分自身や子供を責めるのはやめましょう。
治療や対処法
もしも、ADHD傾向があり、日常生活に困っていることがある場合は、やはり適切な専門家を頼ることが解決への第一歩になります。
お薬によって、改善が見込める場合もあるので、よく調べた上で信頼できるお医者様を見つけることが必要かもしれません。
また、ADHD傾向で困っている人の中でも、お薬を飲むほどではないという人も多いようですので、その場合の対処法について少し触れておきます。
そもそも、ADHDの人には、先延ばしにしてしまう傾向や、記憶できないだけでなく、頭の整理がつかず、先の見通しが苦手な傾向があります。
よく言われていますが、付箋などに記入して、並べる方法は有効です。忘れてしまったり、先延ばしにしてしまうことを可視化することで、頭の整理がつきやすくなり、全体像が把握できるので、自分が何をすればよいのか自分自身に指令をだせるようになります。
先延ばしにしてしまう人は、全部をクリアしようとするので、考えるだけで頭が痛くなるので、まずは、全部を完璧にやろうとしないことです。
そして、とりあえず、1分だけでいいからやろうと心がけることです。
また、終わったものから、終了エリアに付箋を移していくことも、自分の頑張りが可視化され、達成感にもつながり、次への頑張りへのモチベーションにもなるので、オススメです。
しばらくすると、実行できないまま数日間残っている付箋がでてくることがあります。
その場合は、やる気などの問題ではなく、その内容の難易度が高い可能性がありますので、もう少し細分化してみると良いでしょう。
このような感じに可視化することが、脳の整理をすることや忘れることの防止になるので試しながら、その人に合ったよりよい方法が見つかっていくこともあります。
まとめ
ADHD傾向が強いことがデメリットであることのように思われる人も居るかもしれません。
しかし、物事にはすべて表と裏があるように、ADHDにもメリットがあります。
多動はエネルギッシュ、衝動性や気分の浮き沈みが激しいは感受性が強いなどと置き換えることことができるように、捉え方の問題でプラスにもマイナスにも転ずるものです。
ADHDだから苦手なこともあるけれど、時として人一倍優れた力を発揮することがあるため、天才肌とも言われます。
結局一番大切なことは、ADHDの特性を理解し、本人も周りもありのままのその特性を受け入れ、前進していくことです。
特性を知ることで回避できる生きづらさもあるので、日常生活の困り事がある人は、一度検査してみるのもいいかもしれません。
検査の結果、ADHDの傾向が強いとなった場合でも、落胆するのではなく、様々な困り事の対処法を知るきっかけになって良かったと思えれば最高です。
参考書籍:マンガで分かる心療内科13 (原作 精神科医ゆうきゆう)